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Black velvet
第7章 細く光る、鎖。
深夜に帰り着き、シャワーだけして
眠り込んだ カズは

遅くに目覚めて
カフェオレだけを飲み

いまは ひとり、ゆっくりと
バスルームを使っている。


仕事に行く時はもちろん、
夜 眠る間や バスルームを使う時には
革紐だけでなく
足輪もつけないのだが

アンクレットなら
外すこともないか、と
リビングでカタログを眺めていると
ドアが開いた。


「家でこんなの…」と
最初は嫌がっていたバスローブを着て
ボトルとグラスを手にしている。

「飲む?」


「あぁ」 それだけ答えて 頷くと

空になったグラスに炭酸水を注ぎ足して
俺の手元へ 持ってきた。


「これ…」


「お前の他に 贈る相手はいない」


まだ湿っている髪に指を差し入れ
その顔をひきよせて、キスをする。


「どれがいい」


シンプルな プラチナで、
デザイン物を重ね付けしても
煩くなさそうな細い鎖を 指差したカズの
背中に腕を回すと

…俺の肩に 手をついて
身を乗り出し、そっと唇を重ねてきた。

片腕で 抱き留めて
離れていくキスを追い
深く貪った後 抱き上げた。


しがみついているカズを運びながら
さっきのキスを 記憶でなぞる。

最中でもないのに こいつから
そっとふれた、唇。

… 胸が 痛んだのは
告げられない想いのせいだろうか。




































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