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第19章 明日奈と天志【第二部】

「ありがとうございます」

お礼を言いながら体勢を立て直そうとするあたしの腕を、その人は強く掴んで離してくれない。

「あの…？」

ゆっくり振り向くと、一昨日まで毎日のように見ていた顔がそこにある。

「元田先生…」

「もう先生じゃないけどね」

「あ、ありがとうございました、もう自分で立てますから」

目つきの怪しさに危険を感じて身体を離そうとしたら、
「まだ顔が真っ青だよ」
かえって強く引き寄せられてしまった。