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白い背中と君の藍
第7章 ブラック◆消えて…
アパートから遠くに離れたかった。

マキコが孝秀を縛り付けるための『牢獄』から。

全速力で自転車を走らせるけど、また涙が溢れ出して鼻が詰まる。

「はぁ……はぁ……あぁぁぁ――――」

苦しい……苦しい……

息が出来ないよ――――!!

私には何も出来ないのだろうか。

孝秀は一生、牢獄の中で生きていくのか――――。

マキコの禍々しい赤い唇が脳裏にちらつく度に憎しみが膨らむ。

あの女が居なければ……
マキコさえ消えてしまえば……。

そう思って嫉妬に歪む自分の心に嫌悪感で吐きそうだ。

『女の執念』に――――自分もマキコと同類なんだと気付かされて、余計泣けてきた。

「私も……消えちゃえばいいのに……」

ドロドロした感情が頭をもたげて、眩暈がする。

容赦なく襲ってくる絶望感に夢も希望も掻き消されて、目の前が真っ黒になっていった――――。

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