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白い背中と君の藍
第8章 コーヒー◇優しい気持ち
私の答えは決まっている。

先輩だって分かっている筈だ。

それでも真剣に気持ちを伝えてくれた想いに、どう返して良いのか悩んだ。

口を結んで黙っている私に先輩の方から切り出してきた。

「あのさ恵……今は絵の具……孝秀のことしか頭にないのは分かるよ。俺だって恵のことしか頭にない」

「え……」

驚いて顔を上げると、先輩は寂しそうな笑顔を浮かべて話を続ける。

「正直さ、頭にもきてる。自分の不甲斐なさに……恵が孝秀とこんなことになる前に、恵を掴まえておけば良かったって」

「掴まえて……?」

「あぁ……」

先輩の手が頬に添えられて、親指で唇を撫でていく。

「あっ……」

驚いたのとくすぐったさで、少し甘い声を出してしまうと

「そんな可愛い声……聞かせてんの?」

「先輩!?  きゃ!!」

先輩は艶っぽく囁いて素早く私の後頭部に手を回し、胸の中へ引き込んだ。

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