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白い背中と君の藍
第8章 コーヒー◇優しい気持ち
「先輩まで考えてくれてありがとうございます」

何かが動いた訳じゃないけど、重たい石を半分持って貰ったみたいに気持ちが軽くなっていた。

「まぁ……俺は孝秀には何も出来ないけどさぁ。前に聞いた例え話に、綺麗な水の中で生きている生き物は汚い水に移すと死ぬって……」

「え……それは想像付きますけど」

「うん。その逆も然りで、汚い水の中で住んでいた生き物を綺麗な水に移すと……死ぬんだってさ」

「嘘……」

「例え話だから水中の生物だけに当て嵌まることじゃないけどさ、人間社会にも当て嵌まることだって話……」

ドックン――――!

膨らみ掛けた希望に穴が空きそうな気持ちになる。

鳥籠で飼われていた鳥は、自然の世界では生きられないと言われている……。

孝秀も同じだろうか?

眞貴子の足枷を外しても、籠から出たらもっと苦しんでしまうの?

そうだとすると、眞貴子の言った通りになってしまう……。

『これ以上の自由はない』――――。

愕然とした気分で天井を仰ぐと、眩しく光る照明がぼやけて見えた。

その時――――

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