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よくある恋愛モノ
第8章 伝わらない気持ち



凪は一刻も早く会場に行こうと明日を早めるが、慣れない下駄に足がもつれる



「めんどくせぇなっ……」



そんな凪を見て、陽菜乃は思わず笑ってしまった



「どうしたの?」



凪の様子がおかしいことに気付かない陸は、陽菜乃を不思議そうに見る



「ううん…クスッ……なんでもない!」







そうこうしているうちに、会場に到着した



「美和ちゃん!」



陽菜乃はいち早く美和を見つけて駆け寄る



ドクン…



凪は自分の胸が不自然に脈打つのを感じた

以前は分からなかったこの気持ちが、今はなんとなく分かる

凪はその気持ちを悟られないように、小さく深呼吸をして一歩前に出た−−−

だが、先ほどまでもっと早くと進めていた歩はそこで止まってしまった



「陽菜乃ちゃん、紹介するね。同級生の森継星来。帰国子女なんだよ。星来、こっちは凪の妹の陽菜乃ちゃん」

「星来さん……美人ですねっ!」



陽菜乃のフレンドリーな発言に、星来は困る



「……どうも」



お嬢様からしてみれば、社交辞令でいくらでも言われている言葉だ

だが、この馴々しいとも取れる率直な態度は……

事実とはいえ、こういう言い方をされると戸惑ってしまう



「こっちは凪のお兄さんの陸くん」



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