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好きにさせて
第16章 現実
次の日の夜

俺が実家に帰ると
何も知らない俺の両親は
満面の笑みで俺を迎えた

「話がある」

そう伝えただけやけど
多分
結婚とかそーゆー話がやろうと
予想してのことやろう


今まで待たせた俺も
悪いんやけど
その笑顔を見てんのが
俺は少し気が重かった


「で?なんの話や」


世間話もなく
親父はダイレクトに
俺を問いただし

俺が

「会わせたい人がおんねん」

と言うと
母親は

「ほら!ほらほらやっぱりー!
お父さん、私の言う通りやないのー」

そう言いながら
食卓に
俺の好物を並べた


なんや
ごめんな

かぁちゃん


「で?
どんな人?
いくつ?
どこの人?」


…いくつ?

今まで
気にもせんかった言葉が
引っかかって
仕方ない


なんで歳聞くねん

俺と同じくらいやったら
高齢出産近いからか?

歳下やったら
満足なんか?

悪気の無い親に
俺は勝手にイラ立っていた


「あー…おかんも
知ってる人やで」


「そうなん?誰?」


「昔な…小学生の時
ようここに遊びに来てた
藤沢茜や」


「藤沢…
いやぁ!あの茜ちゃん?!」


「おう」


「そんなことあるんやねー」


それからも質問ぜめにおうたけど
とにかく俺が
結婚するかもしれへんことが
嬉しいのか

相手が
あの『茜』ということに
嫌な顔は
せぇへんかった


あの『茜』
というのは…


俺が小さい頃
俺の親は
茜の母親が水商売してることに
あんまりええ印象を
もってなかったからや


茜にはえらい
優しゅうしてたけど。


特におかんは
男しかおらん家に
女の子が遊びに来てくれることが
嬉しいみたいやったし
転校してきて
すぐに仲良うしてくれた茜のことは
気に入ってるみたいやった


「で?
いつ結婚するんや?
お前もしかして
子供できたんと違うやろな?」


きた


そう言われると
思うてたわ



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