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好きにさせて
第16章 現実
どのくらい
そうしてたやろう
俺と茜は
それから言葉もないまま
抱きしめ合っていた
家やったら
押し倒すとこやけど
ココではそうもできず
椅子に座って
身体が離れるのも嫌で
俺も茜も
ただただ
抱きしめ合っていた
「今日…泊まろっかな…」
「明日、昼勤やから
俺、朝早いで?」
「うん、知ってる。
今日は泊まるつもりじゃ
なかったから…
尚が出勤する時に
私も家に帰る。
ねぇ、泊まってもいい?」
「ええに決まってるやないか。
泊まってくれ
寂しいから」
「うん」
それから茜は
店の片付けもせずに
タクシーを呼んだ
アパートに帰ると
茜は風呂を沸かし
実家のことを何も聞かずに
「疲れたでしょ?
お風呂入ってね」
と、優しくそう言いながら
茜の方が
甘えたそうな顔をしている
「一緒に入ろか」
「狭いから…」
確かに狭い
わかってる
けど
「離れたないねん」
「……」
「シャワーやったら
一緒にできるやろ?」
「…うん」