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sunset~君の光になりたい
第16章 二度目のKISS

「今日最後にお届けした"美しい命"という曲ですが……
 出来上がるのに、とても長く時間を費やしました……
 僕達にとってのアンセム(賛美歌)であるこの曲は、惨い事が毎日何処かで起こっているこの世界でも、綺麗な物や、美しい物はある……という事を唄っています」

『惨い世界にも、美しい物はある』

 その言葉に、千波の記憶の中の何かが確かに反応した。
 突如目の前が真っ暗になる。

(――来る……嫌……!)

  頭の奥の方から鈍い痛みがやってきて身体の震えが始まってしまった。
 きつく目を閉じたが、瞼の裏に何かの光景が浮かび上がる。
 いつの光景なのか。現実の事なのか夢なのかわからない。

(私に向かって誰かが何か言っている……)
 掠れた低い声で……

『……んな……惨くて……残……酷な……界……で』

「千波ちゃん……千波ちゃん!」

 ペコに身体を揺さぶられ、弾かれたように夢から醒めた。

「大丈夫!?急に、うずくまって……顔色も悪いわね」

 心配そうに顔を覗き込むペコに笑いかけようとしたが、千波は相当酷い顔色をしていたのだろう。

「……大丈夫ですか?」

 ステージから大森が、マイクを持ったまま千波の方へ身体を向けて声をかけてきた。
 千波は返事をすることも出来ず、頷くのが精一杯だった。

「苦しいときは……もがけばもがく程……もっと苦しくなるものです……」

 大森は、静かに淡々と言った。

「……?」

 千波は、身体を震わせながら大森を見た。




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