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sunset~君の光になりたい
第16章 二度目のKISS
 どれ程の時間眠っていたのだろう。
 ふと、額に冷たい何かが当たる感触がした。ゆっくりと瞼を開くと、大きな澄んだ二つの瞳が潤んで千波を見詰めている。
 額に置いてあった大きな手は、頬をそっと撫でてきた。

「ヒロ……さん」

 彼の名を呼んだ瞬間、物凄い強い力で抱き締められる。
 彼は鼻先を千波の肩に埋めた。
 ソファーがギシリと音を立てる。
 
「千波……俺は」

 ヒロは肩から顔を離して泣きそうな声を出した。
 更に何か言おうとするヒロの唇に、千波は指で触れる。

「いいの……また会いに来てくれた……それだけで嬉しい」

 ヒロは、千波の指にキスをしたがすぐに唇を離す。

「ゴメン……」

 ――ヒロさん。私……ヒロさんに話すことがあるの……

 声に出さず心の中で語りかけた。

「……何?」

 ヒロは頭を撫でながら優しく聞いてくる。

 ――私は過去を、徐々に思い出してきていた。
 思い出した事以外にも何かあるのかもしれない。
 地下鉄で偶然会った、宮本君が言った事。
 何かを隠している里沙――

 千波がずっと黙っているので、ヒロが心配そうな表情をしていた。

「ほんまに具合悪そうやな。人を呼んで来るわ」

 と身体を起こしたが、千波は彼の手をギュッと掴み引き留める。

「いいの……大丈夫」

 彼を見て思う。
 ――金色の髪が額にサラリと流れ、彫刻のような整った鼻筋に大きな瞳。
 なんて綺麗な人なんだろう……

「キス……して」

 千波の呟きにヒロは、一瞬目を見開いて戸惑う様子を見せた。

「ええの……?」

 彼が小さく訊ねる。千波が頷いた瞬間、唇が塞がれた。

 ――ヒロさん。私の全部を知っても、こうして抱き締めてくれるの?
 ……お願い……
 ……嫌いに……ならないで……

 千波は、胸の中にそんな思いを閉じ込めて、彼の熱い吐息や体温を感じながら、彼の背中に腕を廻した――


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