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sunset~君の光になりたい
第11章 切ない黄金色

「ねえ君、一人なの?」

 知らない人の声がして、千波はこめかみを押さえたまま顔を上げた。
 同い年程の茶髪の男性が笑いながら目の前に立っていて、思わず身を固くしてしまう。
 知らない人に、特に男性にいきなり近寄られるのはとても嫌いなのに、男性は隣に座って話し掛けてくる。

「一人ならさあ、俺とどっかいかへん?」

 千波は顔を逸らした。

「結構です……待ち合わせしてますから」

 男性は怯まない。

「さっきから見てたけど、誰も来ないやーん。動物園行くの?動物園行ったら夜景見に行こうよ夜景!ちゃんと、送るからさー!」

 彼が顔を覗き込んで来る。千波は、頭痛がますます酷くなり頭を抱えこんだ。

「あれっ。気分悪い?じゃあさ、どこかで休もうか?」

 男性の声が少し上擦り加減に聴こえ、その荒い鼻息が耳にかかる。
 千波は気味悪さで総毛立ち、逃げ出したい気持ちで一杯だった。

「さあ、行こうか!」

 男性は、千波の腕を掴む。
 抵抗を試みるが力が入らない。

 嫌。行きたくない――
 叫ぼうとしたその時。
 男性は目の前で崩れ落ちた。
 千波の身体が自由になる。
 へなへなとその場に座りこんで倒れた男性を見ると、男性の側に黒いブーツの大きな二つの足が見えた。



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