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星と僕たちのあいだに
第8章 セレンディピティー
 
スーパーの日用品売り場で、愛する男との貪婪(どんらん)な営為を反芻(はんすう)する麻衣の視界で、ラックに並ぶ洗剤や芳香剤が色とりどりにぼやけて見えはじめた。

商品棚を眺めてるのね。
ああ、私なにも探してないわ。
だって、いまカゴに入れたもの。
ふふっ。
さっきお日様が出てきたばかりなのに、
暗闇に足音を忍ばせるあの人を期待してる。
すぐに悪さをするあの指先が好き……。
応えるから、今日もたくさん求めて。
欲しがられるのって、うれしいもの。

ハレンチな夢想も、今の麻衣には無邪気な愛の予告編なのである。

『はぁぁ、贅沢だなぁ』

ぼんやりとつぶやいて「むふふ……」とほくそ笑み、麻衣は売り場でひとり、多幸感にひたるのであった。


レジに並ぶと、エンドラックの足元に猫用の餌缶が赤札をつけて売られていた。

――――(夕飯は玉ねぎ使うのよね)

ドンとノウのために買ってやろうと手を伸ばしたラックの上段に、女性誌に混じって結婚情報誌が陳列してあった。

¨さすがと言わせる都会派花嫁を目指す!¨
¨フェミニンにまとめるドレス 最新作特集¨
¨徹底検証 ユーロハネムーン¨

表紙を飾る女性は、さっき鏡に映った麻衣と同じように微笑み、書かれた見出しはどれも麻衣の興味を誘うものばかりだった。
麻衣はレジに並んでいるあいだずっと、買おうかどうしようかと迷ったが、結局雑誌は手に取らず、シラス入りの缶詰をふたつカゴに入れた。


倉庫に戻った麻衣がバイクを止めると、バイクの音を聞きつけた二匹が草陰からあらわれて、さっそく麻衣の足元へすり寄ってきた。
春先の発情期にノウは妊娠し、体も少し大きくなって、お腹のふくらみがはっきりわかるようになってきていた。

『今日はおみやげがあるんだよぉ』

餌皿に缶詰をひとつあけてやり、また夜に来なさいと言って、夢中で餌を食べる二匹から逃げるように鉄扉をあけた。


 
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