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星と僕たちのあいだに
第3章 星のすぐそばに
 
急角度にみなぎる圭司の銛(もり)が、麻衣の湧き口にさしあてられた。
アゴのきつくかえった銛先は、ぬめりにまかせて湧き口にめりこんでいく。

グツッ――――。

麻衣は、『くっ!』とうめいて眉を寄せた。
とてつもなく大きなものを下腹に据えられた感触と、それをつがえた圭司の弓弦(ゆづる)が、まだ充分な引きしろを残しているであろうことに、おびえまじりの期待を抱いた。

ひたむきに瞳を潤ませて、かすかに腰をわななかせ、圭司がくるのを待っている。
ねだるその姿に、圭司は、麻衣が愛おしくてたまらなくなった。

『麻衣。そう呼んでいいか?』

麻衣の胸にあたたかいものがしみわたってゆく。
「麻衣」と素のままの名でこの男に呼ばれることが、自分にとってこれほど嬉しいことだったのかと、そう呼ばれて初めて気づいた。

圭司の請いに麻衣は『はい』と言葉にできず、幼児がべそをかくように『ふぅん、ふぅん』と鼻の奥から声を出して何度もうなずいた。

『麻衣が、好きだ』

柔肉をかき分けて、圭司の銛が一気に膣を突き抜いた。
その刹那、麻衣のまぶたの裏側で水の袋がパンッと割れた。

『はぁっ!』

体の真ん中に焼き杭を打たれたような衝撃が走り、そのとたん麻衣は発熱した。
徐々にではなく、圭司の性器が一瞬で麻衣の体温を上げたのだった。

圭司は着実に腰を送る。
そうしながら大切そうに麻衣を抱きしめ、かけがえのないものを慈しむように『まい、まい』と耳元に囁きかけた。
そのくちびるが耳たぶに触れるたび、麻衣はとろけ、シーツに染みていった。

私の『好き』なこの人は、¨麻衣¨が『好き』なんだ……。

身体の中に火を点ぜられ、“白い星”となった麻衣は、ゆるぎない幸福感に包まれて、圭司とのセックスを「いいもの」だなと思った。
それは過去に何百回と自分を貫いたものからは、一度も与えられなかったものだった。

たくましく確かな圭司の往復につき従うように、麻衣の身体が秘めやかに撓(しな)う。
されるがままに揺さぶられ、圭司の好きに身を扱わせ、恍惚に意識をゆだねたとき、上で動く圭司のむこうに星空が見えた。

満天の星と圭司がひとつになった。
麻衣の手は、星に届いていた。







第三章 星のすぐそばに
 
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