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星と僕たちのあいだに
第4章 幸福の在りか
 

『浩ちゃんが昨日、言ったんだ。
 洋介も。
 麻衣が変化を起こすって』

圭司はヒジを立てて手のひらで自分の頭を支え、あいた手を麻衣の頬に添えた。

『あいつ、今夜、
 早苗に告白するんだよ』

『うまくいってほしいですか?』

『いってほしいなぁ。
 俺たちがこうなって、
 むこうもくっついてくれたら、
 気が楽だけどな』

『早苗さんは、圭司さんが好きです』

きっぱりとした言いかたに不意をつかれ、麻衣の頬を撫でていた圭司の親指が止まった。

『そうか。早苗がそう言った?』

『言わないけど、
 そんな気がします』

なんだ、憶測か、と圭司は軽く肩をおとした。
憶測に反論することもないと思い、

『じゃ、そうなんだろう。
 麻衣は女だからわかるのかもな』

と、適当な言葉を返した。
麻衣は女らしく追及の手をゆるめない。

『圭司さんは?』

どう答えるか迷った圭司は、頬から乳房へ手をさげた。
ころりとした乳首の感触が新たな欲情を誘いだす。

『俺は、早苗とはダメなんだ。
 出会った時期が悪かったかな。
 麻衣を想うみたいに、
 素直に好きって、なれないんだ』

麻衣は唇を薄くして、はにかんだ。

『男だからさ、
 エッチな気には、なるんだよ。
 でも、ダメだったな。
 それだけってのは、どうもね。
 それに浩ちゃん、熱あげてたし。
 前にあいつさ、
 ¨早苗がいなくなったら俺は死ぬぅ¨って、
 酔っぱらって泣いたんだぜ。
 俺はそこまでじゃなかったなぁ』

『圭司さん……』

か細くつぶやいたあと、麻衣は目を伏せた。
圭司は、もてあそんでいた乳首から手を離し、うつむく麻衣のアゴを上げて、どうした? と訊いた。

『私、赤ちゃん産めないです』

麻衣は、力なく微笑んで言った。
少々唐突なひと言であったが、その言葉が麻衣の早合点や、思い上がりから発せられたものではないことを圭司は理解していた。


 
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