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第17章 約束

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……別に花見がしたかったわけでも無いし

10代最後の夜を楽しむつもりでも無かった。


ただ

毎年命日の翌日は、１人でいることにしていた俺が

今夜はなんとなく誰かと一緒にいたいと思って

誘われるがまま、こうして大学近くの公園に来たんだ。


……だけど、結局

酒が入って騒ぐ仲間のノリに疲れて

隙をみて、離れたベンチに逃げてきてしまった。




『……今年も、満開』



首を後ろに倒して、街灯に照らされた花びらを見上げる。


……3月31日。

この公園に来たのは初めてだけど

5年前から、毎年同じことを呟いてるな。


２人の結婚記念日は、当てもなく都内をうろついて

桜の木を見つけて

姉貴に想いを馳せ、祈りを捧げている。



『……姉貴が生きていれば、今夜は…』

『８年め、突入か……』

『いや違うよ。 今年は７回目の……』


結婚記念日……って

……ん？

８年め……？