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春雪 ~キミと出逢った季節 ~
第20章 溢れる笑顔

「も~、仕方ないなぁ」


ユキはそう言って、両手を高く上げて伸びをすると

白い歯を見せて笑った。


「春ちゃん。
意味不明なあの人の為に、一緒に騙されたふりしてあげよっか」

「……えっ?」

「何を企んでんだか知らないけど。
あの様子じゃ、どうせ尾行してくるだろうし」

「???」


……ユキ。

意味不明なのはあなたも同じだよ?

ハテナを通り越して、混乱によって軽く眩暈までしてきた私。

ユキはそんな私に構う様子もなく、海の方向へ向けて足を踏み出した。


「ちょ、ちょっとユキ…」

「行こう、春ちゃん」

「え!? どこに?」

「ね、どこにしよっか。
お昼食べた?」

「へっ!?」

「お腹空いてる?」


ま、待って待って……!

スタスタ軽快な足取りで進むユキの後ろを、なんとか付いていくけど

頭の中が軽くパニックで、うまく歩けないんですけど……っ


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