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第10章 最後ノ恋

━━━━その後、あれから何日も過ぎて

私の元へ何人もの刑事さんがやって来た。


桜木さんは事情聴取や裁判が済んだ後、どこかの病院に入院してカウンセリングを受ける事になるらしい。

心神喪失ということで、実刑になるかどうかはわからない、と。

そのうち私にも事情聴取や裁判に出てもらうかも知れないと言われた。

けど、あんな悲しい結末を誰かに話せる気持ちにはなれない。


桜木さんのお父さんの事だが、どうやら黒埼さんの言ってた通りだったらしく

桜木さんのお父さんが黒埼さんの忠告を無視し、己の力を過信し会社を大きくしてしまい結局は赤字。

黒埼さんが事業拡大の話を持ち込んだわけではなかった。











━━━━━「だから言っただろ？俺はそこまで強欲じゃねぇ」

「…すいません」


今のは全て黒埼さんのお抱え弁護士さんから聞いた話だ。



あの後、病院に運び込まれた黒埼さん。

確かに桜木さんに刺されてはしまったが、命に関わる怪我ではなかったらしい。

出血も然程酷くなかったらしく傷口を縫合し、しばらく入院ということになった。

「大した怪我でもねぇのに、入院かよ…」

「仕方ないです。黒埼さんは仕事人間で安静になんて出来ないんですから…、念のために入院です！」


傷口もそんなに深く大きなものではなかったらしいが、黒埼さんは忙しい社長さんだ。

どうせまたあちこち動き回ってせっかく縫合した傷口を開かせてしまい兼ねない。

なので、大事をとって入院というカタチになった、のだが…



「ところで黒埼さん、この部屋は…」

「俺が大人数の大部屋でリラックス出来ると思ってんのか？」