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BLACK WOLF~crime~
第10章 最後ノ恋
「あの…、でも…、ハルちゃんの意識ももう戻ってますし、後遺症とかも残らなさそうだし…、その…っ」


何よ…。

いつもみたいに憎まれ口を叩けばいいじゃない。

「しぶといガキだな」とか何とか、嫌味の1つでも言えばいいのに

そんなんじゃ、私の調子まで狂ってしまう…。


「あの、私こそ…、今まで我が儘言ったりして困らせちゃって…」

「え?」




私は何もわかっていなかった。

黒埼 明という人間を。

知ったつもりでいただけだった。



黒埼さんはいつもいつも私を守ってくれていた。

私が酷い目を見ないように…、不器用な黒埼さんのやり方で守ってくれていた。



…今はこの病室に2人切り。

黒埼さんと2人切りになるのは慣れてるはずなのに、何だか、今は凄く照れ臭い。

改めて気づいた黒埼さんなりの思いやりにお礼を言いたいのに、何だか恥ずかしい。


「だから、その…っ」




「…本当はお前の願いは全て叶えてやりたいさ。外でデートしたり、レストランで飯食ったり…」

「……っ」

黒埼さんの腕が私の頬に優しく触れた。

…大きな掌。

私はいつも、この掌に癒されてる。


「でも、俺にはそれなりに敵も多い。今回みたいに要らぬ誤解を招く事なんてしょっちゅうだ」

「だから私を…、そんな人達の目に付かないように…?」

今回みたいに誘拐されたり、脅迫されたりしないように守ってくれたんでしょ?

これが、黒埼さんのやり方だ。

黒埼さんの不器用さは私が誰よりもわかっている━━━━━



「……最初はそのつもりだった」

「え…?」



私の頬に触れていた黒埼さんの手が

私の腕を掴んで



「━━━━きゃあ…っ!」









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