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その瞳に…
第16章 胸騒ぎ
「生徒は落ち着きましたか?」

いつの間にか戻って来ていた佐田が、少し離れた所から声をかけてきた。

「!?」

舞奈は、ビクっとなり大河から体を離し、不安な顔で大河を見る。

そんな舞奈に、大河は大丈夫と言う様に笑いながら頭をポンポンし、立ち上がる。

「少しは落ち着いたみたいです。…彼等は?」

大河の問いに、佐田はため息をつきながら答えた。

「散り散りになられたので、逃がしました。まあ、今日はもう、戻って来ないでしょう」

そう言いながら、佐田は舞奈に顔を向ける。

「確か、二組の綾部だな?」

佐田の問い掛けに、舞奈は、はいと頷く。

「通学は、歩き?電車?」

「電車、です」

そうか…と呟き、佐田は更に続ける。

「親御さんに迎えに来てもらう事はできるか?」

その問いに、舞奈は無言で首を降った。

それを見て、ん~と唸る佐田に大河は頭を下げる。

「お願い致します。彼女を僕に送らせてください」

突然の行動に、舞奈と佐田は、えっ!?と同時に驚いた。

「せんせ!私なら大丈夫で…!」

大河を止める為、舞奈は立ち上がろうとするが、足に力が入らなく、そのままへたりこんだ。

先程の恐怖がまだ残っているのか、舞奈の体は小さく震えていた。

そんな舞奈を見て、大河は更に頭を下げる。

「お願い致します。どんな処罰も受けますので、今日は僕に送らせてください!」

どんな処罰も。その言葉に舞奈は大きく反応した。

「駄目です!私の不注意のせいなんですから!先生はそんな事言わないでください!!」

二人のやり取りを見て、佐田はわかったわかった、と降参した様に手をあげる。

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