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その瞳に…
第23章 小さな秘め事
「あ、舞奈こんなとこにいたー!」

三人は、突如かけられた声にビクっとする。

聞こえてきた方を見ると、渡り廊下に先程話題にあがった美和がいた。

「あれ?先生もいる。何してんの?」

渡り廊下から、スタスタと歩いてくる美和に、大河は立ち上がり、教師の顔で対応する。

「少し、勉強の質問をされたので」

ふーん、と美和は興味無さげに反応し、クルっと舞奈に向き直る。

「ね、舞奈。文化祭であった渡辺覚えてる?」

舞奈はん~?と思い出す。渡辺…確か美和の彼氏の友人の一人。

「うん。一応」

顔までは覚えてないが、名前を言われた事は覚えていた。

「そいつがさ、舞奈の事気になってるみたいで、紹介してって言われてさ。今度、また会ってみない?」

会ってみない?と言われても…と思った舞奈は、横にいる絵麻の表情が固まっている事に気が付き、その視線の先を見る。

(ひい!?)

舞奈はあまりの恐怖に、全身に鳥肌を立てる。

そこには、美和の後ろで笑顔で佇む大河。

顔は笑っているが、もの凄い怒気を纏っている事は、さすがに鈍感な舞奈も解る。

(こ…これは怖い…)

これを絵麻は、文化祭でも見たのか、と舞奈は思い、巻き込んだ絵麻に少し同情する。

「ねー。舞奈聞いてる?」

あまりの恐ろしさに、美和の事をすっかり忘れてた舞奈は、はっと気をとりなおす。

「ごめん、私彼氏いるから、断って」

「え~!マジで!?」

「うん。だから、ごめん」

不満げに洩らす美和に、舞奈は再度謝罪する。

「良いじゃん!黙ってれば解んないんだし。別に付き合わなくたって友達になるくらい」

(いや、もうバレてるし!?)

それでも、引き下がらない美和に、舞奈は心の中で叫びながら困惑する。

「ねー舞奈。お願い」

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