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その瞳に…
第24章 嫌悪と恐怖
手を振り払われ、渡辺は少し残念そうにするが、またニコッと笑う。

「ちゃん付け嫌なら、舞奈って呼んでいいの?」

その言葉に、舞奈はキッパリと断る。

「普通に、苗字で呼んでください!」

「俺苗字知らないし~良いじゃん、舞奈ちゃんで♪」

全く気にしない渡辺に、舞奈は嫌気がさす。

(なんなの…この人…)

「舞奈。もう行こう」

警戒してる舞奈に、絵麻は声をかけ、店を出ようと席を立つ。

「え~。俺は舞奈ちゃんとまだ話したい~」

舞奈の進路を塞ぐ様に立つ渡辺に、舞奈は退いてくださいと言うが、渡辺は退く気配を全く見せない。

「舞奈、此方からでな」

見かねた絵麻が、横にあるテーブルをずらし、道を作ってくれた。

舞奈は、ほっとしてそちらから出ようと立ち上がると、ガツっと手首を捕まれる。

「いたっ!?」

余りに強く腕を捕まれ、舞奈は渡辺を見ると、笑顔が消え、目と眉を吊り上げた状態の渡辺がそこにはいた。

「ていうか、お前なんなの?俺は舞奈ちゃんと話してんの!帰るなら、お前一人で帰れよブス!」

舞奈の腕を掴みながら、急に人が変わった様に、絵麻を罵倒する渡辺の豹変ぶりに、舞奈は体を強張らせる。

「ね?舞奈ちゃん。もうちょっと俺と話そ♪」

けれど、舞奈に向き合うと、ニコニコした顔で話し始める渡辺に、舞奈は血の気が引いた。

「渡辺。もうその辺にしろ」

恐怖で固まっている舞奈の腕から、渡辺の腕を離しながら、美和の彼氏が、渡辺を止める。

「彼女困ってんじゃん。な?」


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