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その瞳に…
第28章 大人の対応
 「なら良かった~。朝も駅にいないから、あの人から連絡なかったら心配して家まで行ってたよ」

 その言葉に、舞奈はえ?と疑問の声をあげる。

 「そういえば、さっきも連絡貰ったって・・・」

 「ああ、うん。今朝ね。昨日の事をちょろっとと、今日はあの人が学校近くまで送るからってメッセージが入ってた」

 先生がそんな事を、と舞奈は驚きながらも、大河のそんな気遣いを嬉しく思う反面、甘えすぎている自分に嫌悪する。

 はぁ、と舞奈は思いため息を吐く。

 (もっとしっかりしなくちゃ、ってなんか最近いつも思ってる気がする・・・)

 狭い自分の世界で生きてきた自分は、大河に出会い色々な事を知った。

 少しは自分はしっかりしている方だとは思っていたけれど、大河の対応を見ていると、自分がいかに出来ていると自惚れていたかが良くわかる。

 (ダメダメ!落ち込んでる暇なんてないんだし!!)

 落ち込んでしまうと、どんどん嫌な考えをし、気分が落ち込んでしまう為舞奈は後ろ向きな思考を無理矢理遮る。

 「心配かけてごめんね。でも今日でなんとかなるみたいだから、もう大丈夫だよ!」

 絵麻にこれ以上心配かけない為にも、そして自分の気持ちも前向きになるようにと、なるべく元気に、舞奈は絵麻に笑顔を向ける。

 「ほんと?まじで大丈夫?」

 それでも不安が取り除けないであろう絵麻は、心配そうな顔で舞奈に何度も確認をする。

 大河に何を聞いたのかは解らないが、昨日渡辺が駅に居たことは聞いたんだろうと、舞奈は感じる。

 だから、舞奈はまたにっこりと絵麻に微笑みを向けた。

 「本当に大丈夫。今日はね、彼氏の知り合いの人が駅に迎えに来てくれるし、あいつの事もちゃんと対処して、二度と私に近寄らないようにしてくれるって」

 「なら、いいけど・・・」

 絵麻はまだ心配そうな声を漏らしたが、舞奈の笑顔と言葉を信用するかの様に、絡めていた腕を解く。

 「でも、なんかあったら私にもちゃんと相談してよ?」

 「うん、ありがと」

 自分を心配し、力になってくれる絵麻に嬉しさを感じ、舞奈は笑顔でお礼を言った。
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