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その瞳に…
第29章 大人と子供
 舞奈はその言葉に、きゅっと胸を締め付けられる嬉しさを感じる。

 けれど、大河の言葉が続いていたので、舞奈は嬉しさを表す事なく静かに話を聞いた。

 『それに、僕には調度色々な知り合いがいるからね。彼らも女性に酷いことをする人間が大嫌いだからね。そう言う奴にお仕置きするのが大好きな人達もいるから、僕は彼らにそれを頼んだだけで、僕は特に何もしていないよ』

 色々な知り合い。

 先ほども思ったが、やはり大人の大河の世界は広いんだと思った。

 たとえそれが、どんな人なんだろう・・・と、心の隅に引っかかったりもしたりはするが、それでも大河が信頼している人である事には変わり無い。

 「先生は、色々な知り合いがいるんですね・・・」

 舞奈は、ポツリと思っていた事を口にした。

 大河と自分との世界観の違いが、子供じみた嫉妬なのはわかっている。

 大河の全てを知りたいなんて、それも子供じみているのもわかっている。

 けれど、やはり少し寂しくなってしまう。

 『・・・・・・・・・』

 電話先からは、大河の返答は無く、少しだけ沈黙が続いた。

 舞奈は、自分の子供じみた嫉妬で、大河の気分を悪くしたかな、と少し戸惑う。

 けれど、なんて言っていいのかわからず、舞奈もまた黙ってしまった。

 時間にしたら1分ほどの沈黙が、舞奈にとってはとても長く感じてしまう。

 その沈黙を先に破ったのは、大河だった。

 『舞奈、明日・明後日と用事は?』

 いきなり話が飛んだ舞奈は、え?と疑問に思いながらもその問いに答える。

 「いえ、特には何もないです」

 『そう・・・』

 舞奈が答えると、大河は何か考え込んでいるのか、また少し黙ってしまう。


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