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その瞳に…
第34章 楽しい夜
 舞奈が体力を回復し、成滝の店に着いた頃には既に八時を回っていた。

 調度忙しい時間なのだろう、とても嬉しそうに二人を迎えた成滝は、挨拶もそこそこにすぐ厨房に戻ってしまった。

 舞奈と大河は、前来た時のように予約をしていなかったにも関わらず、個室が調度空いていた為、そこに通されたお陰で人目も気にせずに食事をする事が出来た。

 「好きなだけ食べなさい」

 そう言われ、舞奈はお腹がかなり空いていたのと、成滝の作る食事があまりにも美味しいので、いつも以上に食べてしまう。

 「もう食べれません~~~」

 運ばれてきたデザートも美味しく平らげた舞奈は、食後の紅茶を飲みながら満足げに話す。

 「なら、良かった」

 大河はコーヒーに口を付けながら、嬉しそうに微笑む。

 すると、厨房へ続くドアがガチャっと開き、成滝が顔を出す。

 「二人とも食事終わったみたいだね」

 「あ、はい。とっても美味しかったです!ご馳走様です」

 舞奈が挨拶すると、成滝はうんうん、と嬉しそうに頷く。

 「なら良かった。美味しく食べてもらえるのが、僕らシェフの一番の悦びだからね」

 成滝は舞奈の頭を撫でながら、にっこりと微笑む。

 (うわっ!)

 いきなり頭を撫でられ、舞奈は少し戸惑うが、成滝の頭の撫で方がとても気持ち良く、戸惑いはすぐに消えてしまう。

 (これは・・・ほんとにもてるんだろうなぁ・・・)

 自然と撫でる手と、自分に微笑む笑顔は、女性ならドキリとしてしまう。

 舞奈も、大河がいなければ、成滝にときめいてしまうかもしれない、と一瞬考えてしまった。

 「で。なんの様だい」

 低く、怒り交じりの声が聞こえ、舞奈はギクリと体を強張らせ、大河へ振り向くと、そこには怒りを露にした大河が、じっと成滝を見つめていた。

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