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その瞳に…
第9章 いつもの学校
いつもと同じ朝、いつもと変わらない学校。
けれど、舞奈には全てが違って見えた。

恋人ができただけで、こんなに違って見えるんだ、と舞奈は感じた。

教師でもある大河に、変な成績は見せられないと、授業にもいつも以上に身が入る。

月曜日は、六時限目が化学の授業。
舞奈の教室と職員室は遠いため、授業と部活でしかまともに大河には会えない。

(早く五時限終われ!)

舞奈は五時限目になると、チラチラと時計を何度も確認する。

キーンコーンカーンコーン

五時限目終了のチャイムがなる。

舞奈は早く化学室に向かおうと、教科書を急いで準備し教室のドアをあける。

「おっと――」

飛び出した瞬間。ドアの前にいた人にぶつかり舞奈は顔をあけた。

「あっ!」

ぶつかった相手は大河だった。
舞奈はやっと会えた嬉しさのあまり、声が弾んだ。

「先生!」

大河はそんな舞奈に注意する。

「綾部さん、教室からは飛び出さないように。危ないですよ」

教師としての大河の言葉に、舞奈はいけない!と思い気を引き締めた。

「すみません、山村先生」

大河は軽く頷き、教室の中に声をかける。

「化学室は水漏れがあったため、授業はこの教室で行います」

その言葉に教室の中からは、異動がなくなった為、やったーなどの声が上がる。

「調度良い。そんな訳だから、綾部さん、少し運びたいものがあるから手伝ってください」

思わず降り注ぐ幸運に、舞奈は胸を弾ませ、大河と化学室へ向かった。


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