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want to be ...【短編集】
第7章 温泉旅行 3日目






「杏奈ー…露天入ろ?」


「やだー、待って。ちょっとだけ寝たい」


「却下」


にこにこ微笑みながら近付いてきて、両手を広げる蒼汰。


「…っ!ちょっと待ってっ」


「却下〜」


「きゃぁあっ」


抱き上げられて露天風呂まで連れて行かれると、お風呂の淵の板の上に降ろされる。


「はい。脱いで」


「ほとんど着てないも同然だよ」


「あぁ脱がせてほしい?」


その言葉をスルーして浴衣を脱ぎ、四つん這いで浴槽の淵まで行く。


「えぇ杏奈ー、俺の脱がせてよ」


「…あ、あったかい」


後ろから絡み付いてきた蒼汰と蒼汰の言葉を再びスルーしてお湯の温度を確認。


「仕方ねぇなぁも〜」


とか言いながら浴衣を脱ぎ、椅子にかける蒼汰があたしを再び後ろから抱き締める。


…相変わらずだな、その癖。


「…杏奈、いい匂い」


すんすんとあたしの匂いを嗅ぎ、体重をかけてくる。


「ぎゃっ!あっ、おっちるっ」


「…落としてやろうか?」


「やっ!やだっ」


「杏奈〜」


「ぁ…!」


乗りかかられてたのに、ぐんっと身体を抱かれて蒼汰の足の間に座る体勢になる。


「…杏奈、何かにおう」


「ん…?」


「変な匂い」


「…さっきいい匂いって…」


「いい匂い、するよ。めちゃくちゃにしたい匂い」


「…は、」


何…


「…あぁ分かった。ちょっと精液くさい」


「…えっ待って、それ誰のせいだと思ってるの」


「俺だね〜」


はは〜って笑ってあたしの身体を強く抱き締め、首筋にキスを落とされる。


れろ、と舐められて、ざらりとした感触に身体を捩る。


「んっ、くすぐったい…」


はぁ、と息を吐かれると、びくっと身体が震えた。


その時、ひゅう、と風が吹いて、露天風呂の湯気が巻き上がった。


「…、ねぇ蒼汰ぁ、入ろ〜?」


ちょっと寒くなってきたし…


「…一緒に?」


「…?うん」


へ?入るんじゃないの…?


お互い全裸で露天風呂の淵にいて一緒に入らないなんて、変じゃない?


「"一緒に"入るんだ?」


何で「一緒に」を強調するんだろ…


「ん。…入ろ?蒼汰…」


寒いよー。


振り返って蒼汰を見上げると、その表情にぎょっとする。


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