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want to be ...【短編集】
第7章 温泉旅行 3日目






「あたし頭いいからぁ」


「…、自分で言うなバーカ」


「記憶力抜群なの」


「…くそ」


「あははは」


「…天才型だよな?杏奈って」


「…えぇ?天才なんかじゃないよ。
講義聞いてたら覚えるでしょ?」


「…それだけで覚えられんの?」


「うん。え、他にどこで覚えるの?」


「…。高校も大学もかなり休ませたよな。
本当にすみませんでした。ごめんなさい」


…ん?


「あっははは!蒼汰があたしに謝った!」


「っ、うるせぇ!ほんと悪かったっ」


湯気で少し湿ってる蒼汰の髪を撫でる。


「あたし、人望確保はちゃんとしてるから」


「…恐ろしいな」


「課題なんて自分でするべきなのにね〜?」


「…回し写し?」


「ううん。回し写しなんてもんじゃない、
勝手にコピーされて学年中回ってた」


「…怖っなぁお前どんだけ頭いいの」


「でもね?面白いの。そしたら皆答え合ってるじゃん?
先生最初から分かってたの、あたしの写してるって。
だから抜き打ちテスト何回もして、皆撃沈。
ほんと面白かったなぁ〜」


「…怖ぇな」


ケラケラと笑ってる蒼汰。


今は、ちゃんと聞いてくれてるけど。


セフレ時代は、あたしの話なんて聞いてくれなかったよね。


『…あの、今はテスト期間中で。
絶対途中で抜けられないんです、すみませ…』


『明日俺大学休み。今日泊まってくから』


『…っ!?あ、あの、だから…っ』


『何?なんか文句あんの?
セフレの分際で口答えすんじゃねぇよ』


『…っ、…っそ、んな…っ』


『…黙って抱かれてろ』


『…っ』


…うん。


何か…もう、ね。


酷すぎたよね。


神経疑ったし、ああまともな人間じゃないんだ、って静かにキレちゃったよね。


あたし、勉強出来てよかったなって思うよ。


優等生でよかったよ。


相当な事ないとテストって休めないもん、それをあたしは優等生だからってお咎めなしだった。


正しい理由はもちろん言えなかったけどね。


これで、セックスしてたから来れませんでしたーなんて言おうものならどうなってたか。


「…杏奈さんさ、J大でよかったの」


「へ?」


「もっといいところ行けたんじゃないの?
美咲もそうだったけど」


「…」


あぁ…


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