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want to be ...【短編集】
第7章 温泉旅行 3日目






「迷惑だった…かな。ストーカーみたいで。
彼女でもないのに同じ大学行くなんて、って
正直思ってたよ、あたしも。でもね、
あの時のあたしはどうしても蒼汰を追いかけたくて、
どんなに酷い事されてても傍にいたかったの」


今キツい言葉を吐かれるのは辛い。


せっかく温泉来てるんだし…


それでも、自信がなくて俯いた顔は更に俯いていく。


蒼汰の顔を見るのが怖い。


ねぇ、今何考えてる?


J大に行った事、後悔なんてしていない。


行かなかったら結婚まで至らなかったかもしれないし、雫を初め、たくさんの友達にも会えなかった。


「何で泣きそうなってんの」


優しい言葉に、つい顔を上げた。


「え…?…っ」


顔を上げたと同時にポロッと頬を流れた涙。


あたし…泣い、てる?


「…っ」


慌てて涙を拭うあたしの顔を覗き込んでくる蒼汰。


「…やっ!見ないで…」


「嬉しかったよ?」


「…、」


へ…?


「凄く、嬉しかった。杏奈がJ大来て。
可愛いんだもん、「蒼汰さん」って駆け寄ってくる杏奈」


「…!?」


か、可愛いなんて思われてたの!?


鬱陶しそうにしてなかった!?


「何か照れくさくて、素っ気ない態度とってたけど。
キャンパス内でもあまり会えなかったけど、
食堂とかであ、杏奈いるって思ったら嬉しかった」


「…!」


「なんか、ほんっといろいろあったけどさ。
ずっと俺に着いてきてくれてありがとな。
何だかんだ杏奈の事手放せなかった俺も俺だけど
文句も言わず一緒にいてくれてありがとう」


「…っ、ふ…っ」


「すっげー今更だし、旅行来て露天風呂入ってる時に
何言うんだって思うかもしれないけど。
今まですっげー酷い事言って酷い事して、
いっぱい傷つけてごめん。めちゃくちゃでごめんな。
ちゃんと避妊しなくてごめん。学校休ませてごめん。
友達といたのに追い払って抱いた事あったよな。
話しかけてくれたのに怒鳴った事あったよな。
理不尽な事言って泣かせた事もあったよな。
泣いてんのに無理矢理抱いた事もあったよな。
それなのに、こんな最低な俺なのに、
いつでも笑顔で一緒にいてくれてありがとう。
これから一生傍にいて償ってく。ごめんな…」


…あ。


蒼汰が、泣いてる…


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