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want to be ...【短編集】
第2章 ペアルック






ぎゅうぅっと蒼汰に抱きつき、すりすりと頬を擦り寄せる。


「ぐえっ!…っ力強すぎお前っ」


更に強く抱き着いてやる。


「…分かった分かった、2個な」


…あれ?そういう意味じゃなかったんだけど。


「ほら…歩きにくいから離れろ」


「…やだ〜」


「チッ…もう、覚えてろよお前」


あたしは蒼汰に抱き着いたまま店内を回った。






結局、2人でお揃いのものをかごいっぱいに入れ、会計に来たあたし達。


「あたしいくら出せばいい?」


あたしの言葉に眉を寄せる蒼汰。


「…あ?何でお前が出す必要あんの」


…えぇっ!?


「いやだって、自分のは自分でお金払うでしょ!?
それに見てよこの金額!値段やばいよ?
あたしお金いっぱい持ってきてるから、半分払うっ」


「いいって。俺が払うから」


「えぇでもー…」


「うるさい黙れ。払うから店ん中見てろ」


唇を突き出して蒼汰を見上げ、会計から離れて店内を見て回る。


…と、1つのパーカーに視線が止まった。


…これ!これいい!


蒼汰に買ってあげよー!


蒼汰が見てないか、会計の方をそっと見て確認し、パーカーを両手で持って見つめてると。


「いらっしゃいませ」


会計の方と逆の方から声が聞こえて、驚いて体を震わせて見上げた。


「…あ、こ、こんにちは」


何だ、店員さんか…


蒼汰くらいの身長で、金髪で、信じられないくらい顔が小さくてかっこいい店員さん。


「それ、彼氏に?」


その言葉に笑顔で頷いた。


「はい!あたしも何か彼に買おうと思って」


「そか、いいね。…君の彼氏ってさ、
今会計してるあの男だよね?」


「そうです〜」


「俺さ、君らの事美男美女だなーって思いながら
見てたんだけど…彼氏、ずっと君の事
好きで堪らない、って目で見てたよ」


「…えぇっ!?」


「もうねー、こっちが見てて恥ずかしくなるくらい
優しーい表情で優しーい目で。ラブラブだね〜」


…ほんとに?


「マジでさ、あいつのあんな顔初めて見たよ」


「…え?」


「あんな顔もすんだな。…っはは」


「…あ、あの…?」


あいつ、って…


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