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want to be ...【短編集】
第1章 カナヅチ杏奈






一瞬の隙をついて…


「っ!?」


乱暴にならない程度に細い体を押し退けてみた。


「っ、やっ…蒼汰!やだやだっ…、
離しちゃ嫌ぁあっ!」


「っ!」


さっきまでは、俺の腰に抱き着いてた杏奈。


それが今は俺に完全に抱き着いてて…


ぎゅうぅっと俺に抱き着いてる杏奈は、一応海の中にいるから体重が全然気にならない。


抱き直そうとすると。


「やだぁあ!」


…あーねぇ、ちょっと。


何このクソ可愛い生き物。


更に強く抱き着いてきた杏奈を、もっといじめてやろうかと思ったが。


「…ごめんごめん。意地悪しすぎた」


素直に認めて謝ってやる。


「…っ、蒼汰意地悪すぎだよ…。絶対離さないでっ…」


…当然。


「離さねぇよ。
離れろって言われても絶対離してやらねぇ」


俺にしっかり抱き着いてる、この小さな手をこれからずっと守ってくのは、俺だから。













帰り道。


「結局泳ぐ練習しなかったね」


「…あ、忘れてた」


ふぁあ、と欠伸する蒼汰と手を繋いで駅のホームに立つ。


「…ま、いんじゃね。いつでも行けるじゃん、
今年でも来年でも再来年でも」


…それは。


いい意味に捉えていいの?蒼汰…


「ふっ…出来なかった時のお仕置き考えとかねぇと」


「えっお仕置き!?やだよ…」


お仕置きつったって。


水着着れないくらいキスマークつけてやるとか、水着を来年のも再来年のも俺が選ぶとか…強制的に他県の大型プール連れてくとか…そんな感じのを考えてるけどな。


「なぁ杏奈ー、帰ったら水着プレイしよ」


「…は!?やだよっ、疲れたから寝るもん」


「ふーん…じゃあそういうプレイ楽しむわ」


「!?絶対やめて!」


あたしが寝ててもヤる気じゃないでしょうねー!?


…って、思ってたけど。










「…ふふ、残念でした〜」


「…ッチ、何でこのタイミングで…」


こいつ…生理来やがった。


せっかく優しくしてやろうと思ったのに…


…いや無理だろうけど。


「1週間お預けだね?あはははは〜」


チッ…くっそ。


喜んでられんのも今の内だぞ?


1週間終えたら、妊娠させる勢いで抱いてやるから。


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