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溺れる恋は藁をも掴む
第5章 女心
「香澄と付き合う男性は、
幸せだね。
凄く、理解のある彼女で」

「そうかな?
それなら、私は最高の理解者になるのかな?
ただ単に、表の顔がどMで、
裏の顔はSなだけかもよ?
私は自分がブスって事に自覚あんのよ。
そんな私が勝負するのは、
性格しかないでしょ?
居心地のいい女になるって事に徹底してるだけかもしれない?」

香澄は笑いながら言うけど‥‥‥

「香澄はブスなんかじゃないよ‼︎」


「有り難う、華。
でも、後ろ姿美人とか平安京ってアダ名が、
私を物語っているじゃない?
言われる度に傷ついたけど、
ある日を境に開き直ったんだよね。

『後ろ姿でも美人は美人』
『最も古風で趣のある時代は平安時代』
日本人の代表みたいな私の何が悪い?
ってね。

明るく開き直れば、
人はそこを認めようとするのよ。
気にしていじけたら、
益々そこを攻めてくんのよね。

私は自分が好きよ。
自分を認めてあげなきゃ、
自分自身が行き場を失くしてしまうわ。
ちゃんと自分の居場所を作る。
複雑な人間関係を敢えて楽しんでしまえば、
向かうとこ敵なしよ。

例えばさ、
自分の目の前に嫌な人が居たとするじゃん?
その人を克服するまで、
逃げても逃げても、
同じような人がまた目の前に現れるんだって!
私が気にしていじけている間は、
そんな人ばかりが私の目の前の壁になって、
逃げても逃げても現れたわ。
でもね、克服した後は自然と居なくなった。
不思議よね。

自分に必要のない人って、出会う事もないんだってさ」
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