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大きな瞳に映るのは
第3章 大きな瞳


― 音楽室 ―


音楽室にはグランドピアノが二台
部屋の中央に置かれている。

配置としては珍しいかもしれないが
これがこの学校のスタイルだった。


( あぁ… やっぱ眠ぃ、眠すぎる… )


俺はいつもと同じように音楽室の奥の教務室
いわゆる
『 音楽のセンセイ 』
が居座るところで
グランドピアノを弾きながら
上の空になっていた。

眠すぎるためか指先がおぼつかない。

眠くてもとりあえず
音に触れたい一心で
鍵盤をたたいていた。



バタンッ



音楽室の扉が閉まる音がした。

教務室にまで響くのは毎度のことだ。


( どーせ部の奴らっしょ… )


ふわふわした脳内でそう考えながら
鍵盤をたたく指は止まらない。


キーーッ


教務室の扉が開いた。
部の奴らにはノックをしろと
言い聞かせてあるはずだ。

鍵盤をなでる指が思わず止まる。



『 おい、ノックはしろって何回も… 』

そう言いかけると
扉からチョコンと見慣れない顔が現れた。

艶のある髪
細い体つきだが
柔らかなふくらみは見て取れる。

色白の肌、小柄な体格。


「 あのー… 」

甘い声がこちらに向けられる
思わずドキッとしてしまった。


『 … ? 』


声が出ずただ目を見開き
彼女を見つめながら首をかしげた。

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