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大きな瞳に映るのは
第3章 大きな瞳


私はそのまま
彼の大きな瞳に見とれてしまった。

もともとお喋りは得意分野ではない。

初対面の人とはある程度
話すことを考えていないと
なかなか自分から言葉に出せない。


ギシ …


彼がきょとんと首をかしげたまま
椅子から立ち上がった。
背は175センチ位だろうか。
すらっとした姿に色白の肌
美形な顔つきに大きな瞳
モデルさんみたいだ。
男の人にしては可愛すぎる顔つきだ。
もったいない。


『 ねぇ … なに? 』


私は ハッ と我に返った。


「 あっ … しっ、失礼しました …!! 」


バタンッ


軽く頭を下げ勢いよく扉を閉める。

いまここに来た理由なんて何もない
ただフラッと来ただけだ。
だから、彼と交わす言葉なんて
用意していない。


『 ちょっ … は? 』


扉越しに彼の声が聞こえた。

思わず心臓が高鳴る。

なんといっても
あんな美形男子のギャップを見た後だ。
それに大きな瞳を
こちらにしっかりと向けられていた。


それだけで照れてしまうのは仕方ない。
きっと今まで出会ったどの男性よりも
魅力を感じたから。


タタッ … ガチャッ 、バタン


私は高鳴る心臓の音とともに
彼から逃げるように音楽室を走り去った。


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