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大きな瞳に映るのは
第7章 ホテル


キーンコーンカーンコーン ~


夕方のチャイムが鳴る。


『 今日はここまでですね、
  お疲れ様でした。 』

奏が書類の束をタンッと整えながら言った。


『 おっつ~!ほいじゃまた明日な~! 』

『 お疲れ様でした、
  俺もバイトあるんでお先に失礼します。 』


そういって足早に夕と蒼真が出て行った。


「 はぁ… 」

やっぱり慣れないことは気を遣うなぁ
と思いながら息を吐く。
そしてスマホを開くと
雪から連絡が入っていた。


― 美術部に入ることにしたよ~♪ ―


雪も着実に動いていて
なんだか嬉しくなって無意識に顔が緩む。


『 嬉しいことでもありましたか? 』


顔が緩んだのに気付いた奏が
席を立ちながらこちらに近づいた。


「 あ、親友が美術部に入るみたいで …
  がんばってるなって。 」


また思わず頬が緩む。


『 本当に可愛らしい人ですね …
  木下さんもがんばってますよ。 』


ニコリとあの笑顔で顔を近づけてくる。
きれいな素肌が近づくと
ドキッとしてしまった。


「 あっ … その … 」 ガタッ


頬が赤くなってしまったのに
自分で気づいたので俯きながら席を立った。


『 木下さんは … 電車通学でしたっけ?
  駅まで送りますよ。 』

「 へっ、あっ、
  いや悪いです、大丈夫ですよっ 」

『 送らせてください。それとも … 』

「 … それとも? 」


ちょっと考えながら奏が黙る。
するといきなり私の右手を握った。

 
「 へっ?/// 」


『 ホテルでも、行きますか? 』


意地悪な笑顔で私をからかう。


「 ちょっ… せんぱい! 」

たじたじしながら、一気に顔が熱くなる。


『 冗談ですよっ。帰りましょう。 』


ははっと笑いながら
先輩は私の手を引いて生徒会室を出た。

まったく… 容赦のない先輩だ …。



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