パソコンから！ケータイから！スマホから！無料でどこでも気軽に楽しめる官能小説サイト

第11章 匂い

『 どこにおいてきたと思った？ 』


からかう様に私の顔を覗き込む。


「 いや… べつにっ… 」

『 ぷふーっっ 』

「 もー！なんなのー！ 」

バシッ バシッ


思わず遙の背中をたたく。
怒られるかと思いきや遙は楽しそうに笑っている。

遙はからかうのが上手い。
それに乗ってしまう私もわたしだけど。





『 … 奏に会えた？ 』



いつものトーンに戻って遙が口を開く。
目線は遠く前を見ている。



「 いや … 会ってない。」

『 あいつも多忙人だからなー 』



聞ておきながら適当な返答が来る。



「 … ハルは、麗先輩、よかったの？ 」

『 あー… あいつも多忙人だからなー 』



また適当な返答が来る。
聞いて損した気分だ。



『 なに。気になるの？ 』


少し嬉しそうにこちらを見てくる。
反射的に目を逸らす。



「 べ。べつにそんなんじゃないけど… 」

『 なーんだ。気にならないかー。』


私の様子をうかがいながら言っているようだ。


『 そうかー、気にならないかー！ 』


私を挑発するかのように言葉にする遙。


「 … 少しはきになるけど。 」

『 んー？ なんてー？ 』


聞こえているのに聞こえてないふりをする。

… 悪魔だ。




「 だから少しは気になるって …！ 」