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手探りな絶望
第6章 溺愛


冬実の母親は今

心を患い入院していて




冬実の赤いガラケーは

母親からの贈り物なんだそうだ




それはもう

学生の頃から使っていて

母親に

まだ使ってるよって

赤い携帯を見せると


喜ぶんだって…。





一日に

何度も母親には
連絡してるらしく

母親からも
電話はかかってくるらしい




母親のことを
説明していなかったから

俺といる時
電話に出づらく

急に出かけたり
俺といる時間が
長くなる時は

母親から
電話が
かかってこないように


冬実から
電話を先にかけておいたり
していた




俺も

冬実も

結婚を考えても
おかしくない年齢で

支えの必要な母親が
いることを
引け目に感じているんだろう


もしかしたら
過去に
母親のことを
打ち明けて
恋人と別れた経験が
あったりするのかもしれない



「言わなきゃって
ずっと思ってたの

でも
周平さん優しくて・・

周平さんと
もっと一緒にいたいって
思うようになればなるほど


言えなくて



好きに・・

なっちゃったから


言えなくて・・」





そう言って

また
泣きそうな顔をする
冬実を


俺は

優しく
抱きしめ

髪をなで

耳元で囁いた





「もっと
好きになってくれよ

冬実の
全部が好きだから


冬実を

支えたいから


大切に・・するから」





二度と
後悔したくないんだ

大切にする


だから
俺の前から
消えないで・・千夏・・

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