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手探りな絶望
第10章 絶望
コンコンっ


ノックをして
お母さんの部屋に入ると


「冬実…」


お母さんは
いつものように
私を抱きしめ

微笑みながら

涙を流した




「久しぶりだね

ごめんね?
最近来れなくて」



「ううん
忙しかったんでしょ?

仕事はどう?

お母さん
今日はとっても
調子がいいのよ」



調子がいい


それは
お母さんの口ぐせ。


そんなに
頑張らなくて…いいのに。



「お母さん
今日ね
珍しい人と来てるの」


そう言った途端
お母さんの顔色が
曇った



私以外に来る人なんて


お父さんしか
いないって
分かってるから。



「…そ、そう…」





「…うん

会いたくなかったら
…やめてもいいよ?」




「久しぶりだものね

ちょっとだけ
会おうかな…」


お母さんの
嫌って言葉
私は
聞いたことがない


頑張るのが…悪い癖。



だから…

だからこんなに
なっちゃったのに…



「入るぞ」



ドアの方から
お父さんの声が聞こえた



「…はい」






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