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サイドストーリー4
第2章 王子の甘い罠
王子を追いかけて渡仏したすみれが数日後に帰ってきた。

二人で祝杯をあげるために飲みにいく。
もう、こんな時間は数少なくなっていくのかもしれない。

「じっくり報告してもらいましょうか」

そう言って乾杯した後、ゆっくりとすみれは話し出した。
フランスに拠点を置く事。
日本にはもう年に数回しか返ってこない事。
フランスでは王子と一緒に住む事。

「真樹!約束したでしょ。貸しよ。貸し!
私と王子の婚約発表は大々的に社内報で報じてよね!」
「いいけど・・・そんなの社内報が出る前にみんなに広まるでしょ。
王子も黙っていられなそうだもん~」
「みんなが知らない情報を載せればいいのよ!」

「みんなが知らない情報・・・?
二人はSMごっこをやってて
すみれがSで王子がMだってこと?
二人はイニシャル通りの関係なんです。って?」

私が笑いながらそういえば、すみれは
「違うでしょ!」
とプンプンした。

いつまでも笑いが止まらない私をすみれは覗き込んで
「真樹?泣いてるの?」
と、小さい声で聞いた。

「嬉しいよ。すみれが幸せになって嬉しい。
けど寂しい。もうこうやってバカみたいに二人で飲むこともないんだね」

笑いながら涙が止まらなくなった。

「仕事を作って帰ってくるわよ!日本とフランスなんかたったの13時間だよ!
ちょっと寝て起きたらもう日本だよ」

そう言いながらすみれも涙がにじんでくる。

「すみれ、いつまでも同期でいてね」
「当たり前だよ。いつまでも私たちは同期だよ」

私はバッグからティッシュを取り出して
盛大に鼻をかんだあと、

「フランスのお土産、期待してる!」
と親指をつきだした。

「任せといて!おそろいの下着を買ってきてあげる」

私たちはその日、終電がなくなるまでずっと泣き笑いしながら飲み続けた。

END*****



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