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彼色に染まってく…
第1章 幼なじみとの決別
『麻由莉!
佑くん待ってるのよ?
早くしなさい!』


朝から怒りモードのママの声をぼんやり聞きながら歯磨きを済ませ

寝ぼけまなこのまま
玄関に行く。


『おはよ…佑貴』


『おはよう麻由莉。
今日も眠そうだね。

また遅くまで
ゲームやってたの?』


靴を履きながら見上げると

そこには幼なじみのいつもの笑顔があった。



向かいの家に住む
佐久間 佑貴
(さくま ゆうき)

幼稚園の頃からずーっと一緒にいる。


高校も同じで

2年になって
同じクラスになった。


『だって…ボスが全然
倒れないんだもん!』

立ち上がり

ぷーっと頬をふくらませながら言うと


佑貴は私の膨らんだほっぺを指で軽く押しながら

『麻由莉ちゃん
弱いもんね~?』

と、
いたずらっぽく笑う。


私は更に
頬を膨らました。


そこにママが
パタパタと走ってきて

『ごめんね佑くん
いつも待たせて。
今日も晩御飯
食べてってね?』

と佑貴に声をかけた。


『いいんですか?
いつもすみません!
俺、おばさんの料理
大好きっす!』


『も~佑くんったら』



佑貴のパパさんは
確か…代議士?とかで
お仕事の為、あんまり
自宅に帰らない。

ママさんもパパさんの
お手伝いしてる。


なので、佑貴はよくご飯を食べに家に来る。


うちのママは
佑貴が大好きで


『佑くんは、たくさん
食べてくれるから
作り甲斐があるわ~』

っていつも言ってる。


そんなやりとりの後
上機嫌のママに見送られ家を出た。



駅まで
10分程の道のりを歩き


満員電車へ乗り込む。


身長153センチの私は
掴まることもできず

人混みに流されて
もみくちゃ状態…


佑貴は
そんな私の腕を掴んで

自分の方へ
グイッと引き寄せると


自分の身体を盾にして

わたしの周りに

小さな空間を
作ってくれる。


身長178センチで
細マッチョ体型の佑貴が作ってくれるその空間は


私にとっては

安心と癒しの空間で…


満員電車の中の
オアシス的な感じ。



そうやって私は毎日

優しい佑貴に守られながら生きてきた。

子どもの頃からずっと…


そして

それが永遠に続くと
思ってたんだ…
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