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彼色に染まってく…
第1章 幼なじみとの決別
やっと
電車に乗ったのは

あれから1時間くらい
経ってからだった。










『麻由莉!
おっせーよ!』


駅の改札を抜けると


いつも通りの
笑顔の佑貴がいた。


『佑貴…な…に…
してんの?』


『おばさんから、

まだ麻由莉が
帰って来てない

って聞いたから
迎えに来たんだよ!


友達とカラオケ
行ってたんだろ?

あんまり遅いと

おばさん
心配するからさ~っ』


笑いながら

私の髪をくしゃくしゃ
優しく撫でる。



私は、思わず
そんな佑貴の手を…

払いのけた。



こんなふうに

佑貴から
頭を撫でられるのは

よくあることで



今まで一度も
嫌だと感じたことは
なかった。



今だって

別に嫌だったわけじゃ
ないのに…



どうして

佑貴の手を払いのけて
しまったのか


自分でも
よくわからなかった。



佑貴は
手を払われたことに

少し驚いた様子だった
けど


すぐにまた
笑顔になった。



『ほら、帰るぞ』


そう言って

歩き出した
佑貴の後ろ姿は


少し寂しそうに

みえた…




佑貴は
すでに私服姿だった。



あれからすぐに
家に帰ったのかな…?



あの人は誰…?


あんな所で…
何…してたの?


急用って

あの人に…

会うことだったの…?




佑貴の後ろを
トボトボ歩きながら



聞きたくても聞けない
質問達が


頭の中をグルグル
かき乱している。





ふいに

佑貴が振り向いた。



『あのさ、麻由莉』


『えっ?』


佑貴の真剣な表情に

何故かドキッとした。




『俺ら…

ちょっと

距離おいた方が
よくないかな…?』



すぐには

言葉の意味を

理解することが
できなくて…



私は佑貴を
じっと見つめた。


いつもみたいに

冗談だよって

笑ってくれるような
気がして…


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