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彼色に染まってく…
第5章 麻由莉の決意
『そんなわけで…

いつの間にか

付き合ってるってこと
になっただけで


綾乃先輩とは

何もなかったんだよ』



話の途中で
家まで辿り着いたので


道路で
立ち話をしていたら


私の帰りを心配して

外の様子をうかがって
いたママに見つかり

声を掛けられた。




『佑くんの分の食事も
用意してあるから

とりあえず食べてから

家の中で
ゆっくり話したら?』


それで

とりあえず
お互い家に帰って
着替えることにした。



部屋で
ブラウスのボタンを
外しながら



私は
佑貴から聞いた話を
思い出していた…



佑貴の
中学時代の思い出には



私の

知らなかったことが



驚くほどたくさん
詰め込まれていた…




いつも
一緒にいたはずの
幼なじみの過去…




そして綾乃さんの…
悲しくて辛い過去と


きっと私なんかが
想像できない程の

深い傷と苦しみ…



色んな思いが交錯して
パニックになりそう…







『その後綾乃さんとは

どうなったの?』



食事を済ませ

佑貴を私の部屋に呼び


ベッドに腰掛けながら
聞いた。



佑貴は
私の椅子を後ろ向きに
して跨ぐように座ると

背もたれに両腕を載せ
さらにその上に
自分の顎を載せて
ゆっくり話し始めた。




『綾乃先輩は…

実はその頃、すごく
好きな人がいたんだ。


だから

俺の気持ちが

手に取るように
わかったんだよ。


そして…

だからこそ



好きな人には決して
言えない自分の欲望と


満たされることのない
体の疼きとで



心が…壊れかけてた。



それで、SMサイトで

知らない奴と
やりとりしたあげく

自分のリスクも考えず
会ってしまう…


なんて
普通に考えたら

異常とも思えるような
行動をとってしまって
いたんだ』



佑貴は、真剣な顔で

私を見ながら


話しを続けた。


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