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第5章 溺れる歌姫

｢美名……言え……｣

　優しく耳朶をかじられて、とうとう美名は降参する。
　綾波の目を見詰め、美名は言った――

｢好き……｣

　綾波は髪を弄びながら、動きを緩め美名を見つめる。

｢好き……好きなの……｣
｢美名……っ｣

　綾波は突然激しく律動を始め、やがて果てるまで壊れそうになる程に美名を打ち付けた。
　美名は揺れる彼の身体にしがみつきながら、心の中で何度も叫んでいた。

　――好き、好き、貴方が好き。
　貴方が例え他の誰を見つめていたとしても。
　だからお願い……
　今だけは、私を見て……