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第7章 生きるということ

私はその日から
謙さんと毎日一緒にいた

日中は面接が多く全店舗の面接を
謙さんか横山さんが行っていた

あるとき複数の面接が重なり謙さんに

「一人だけ面接してきてくれないか」

と言われ行くことになった

行く前には

挨拶
服装
履歴書
言葉遣い
借金があるか
などこちらから気にかけることを教わった

「飲み屋が良いって子もいれば
やっぱりマッサージ店がいいって子もいる
それぞれの事情や金銭面の話を
時間がかかってもいいから聞いてあげて
後日連絡するようにしてくれれば良いから
それと…同じ業種を転々とするような感じの子は
うちはちょっと避けてるからそれを確認して」

私は聞き漏らすことのないように
メモをとる

転々とする子は
どこに行っても続かないことが多く
本人も続けることにあきらめているから
トラブルが多いという

借金が膨らみすぎている子は
お金を作ることに必死になりすぎて
お客さんが不愉快に思う発言をしたり
金銭トラブルが多いらしい

いろんな女の子を見てきた謙さんは
私に傾向と対策を教えてくれた

私は小さな頃から女の子特有の
複数の決まったグループでの集まりが苦手だった

属することを避け
適当にのらりくらりとしてきた

あの子が気に入らないとか
あの子がああ言ったとか
必死にご機嫌とりをしてグループに
しがみつく子

嫌がらせに無視をして
飽きると矛先を帰る
意地悪なグループ

私はそれを見ているうちに
女の子は面倒くさいと思ってしまっていた

だから今も
女の子の中にいるより
男性ばかりの中にいるほうが気楽だった

謙さんといつも一緒の私は
誰かに何を言われるでもなく
恵まれた環境だと思った

ただ
謙さんの愛人だからと言われることが
女だからできないだろうと思われることが
嫌で私は仕事だけはきっちりできるようになろうと
必死になっていた

面接の場所に向かう

私は謙さんが用意してくれたビジネススーツに
巻き髪をサイドアップにして
シャツの一番上のボタンを留めて
待ち合わせのファミレスの駐車場で待機した



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