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Dolls…
第6章 甘い嫉妬
やだ…っ!

この部屋だけはやだ…っ!!

誰か、助けてっ!

嫌…っ!!



「━━━━━いやぁぁっ!!」


椎葉さんが部屋のドアを開ける為にドアノブに手を伸ばした一瞬の隙に


━━━━ドンッ!



椎葉さんのバランスが崩れた。


「いっ…、何を…っ」


一瞬の隙を突いて椎葉さんの体を力任せに押し退けると、バランスを崩したかのように椎葉さんの体が傾き

その勢いで私の体は床に落下。

腰を強く打ち付けたが…、椎葉さんの腕から逃げられた。

「てめ…っ」

椎葉さんもその場に倒れてしまったが、今のうちに…っ!



こんな拷問部屋に連れ込まれるぐらいなら、窓を破ってでも逃げ出して見せるっ!



フラつく足に力を入れて体勢を整えると、今来た通路を必死に走った。

スタジオを抜けて、地下の階段を駆け上がって…。


振り返っちゃダメ…。

振り返ったら椎葉さんが追いかけて来てて、掴まったら今度こそアウトだ。


「だ、誰か…、たすけ…っ」


もしかしたら、誰かに気づいて貰えるかも知れない。

山奥の誰も近づかない人形屋敷。

だけど、ここ数日間、この屋敷に出入りしてる人間はいた。

業者の人やさっきの奈々さんみたいに。

もしかしたら…、もしかしたら…、誰かいるかも知れない。

でも、病み上がりのせいか息が切れて震えて、上手く声が出ない…。


「ハァ、ハァ…、誰か…っ、誰かぁあっ!」


階段を一気に駆け上がり記憶を頼りに先程までいた玄関ホールの方へと走る。

あの玄関ホールの扉の向こうは恐らく外。

あの扉を突破すれば…。



「誰かっ!助けてっ!」

縺れる足を動かして、右へ左へと必死に走った。

助かる事を祈って。





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