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Dolls…
第6章 甘い嫉妬





助けて貰えると淡い期待を抱いていると…。



「残念だったな。椿」

「…………………っ!!」



背後から

椎葉さんの声が聞こえた。

玄関ホールに響く、椎葉さんの声。



振り返ると、階段の踊り場からこちらを見下ろす椎葉さんの姿。



その姿を見た瞬間、悲鳴を上げそうになったが、何かが可笑しい。


私の姿を見下ろしてはいるが、その場から追いかけて来ようとはしない。

私の姿を、腕を組みながら見下ろしているだけだった。


「逃げられるとでも思ってるのか?」


私の姿を見下ろしながらニヤッと笑うその顔は、変な余裕すら伺える。

━━━━━まさか…。



その笑みを見た瞬間、私は気づいた。


"残念だったな"って何…?

私が助けを求めたこの男性は…。




まさか━━━━━━…。









「………っ!んぅっ!」

気づいた時には、もう遅かった。

男性は羽交い締めにするかのように私を後ろから押さえつけ、何かの薬品を染み込ませた布を私の口に宛がって来た。


まさか、この男性も…?


「ふ…、んっ!」

口と鼻を塞がれて、慌てて呼吸をしようとその布の薬品を思い切り吸い込んでしまったのだ。

その瞬間に、私の意識が遠退いて行った。



ダ、ダメ…っ!

ここで眠ったら、また…っ。

必死に意識を覚醒させようとしたが…。



「ん…っ」

頭がボーッとして、全身の力が一気に抜けて行った。

抵抗しようとした腕と足の力が抜けて、そのままダランと脱力。

男性の腕から解放された頃には私の意識は殆どない状態だった。


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