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Dolls…
第10章 美しき獣
どうしよう…。

電気が復旧するまでここにいるべき?

だけど、いつ復旧するかわからないし、停電に気づいて椎葉さんがここに来てくれるかも知れないし

無闇に部屋から出ない方がいいかも知れない。

食事の時間になれば椎葉さんは迎えに来てくれるって言ってたし、もう少しこの部屋で…。


そう思い、再びベッドに戻ろうとした時だ。




ドォォォォォンッ!!━━━━ピカッ!!

「きゃあぁっ!!」





真っ暗な部屋。

雷の光が一瞬だけ室内を照らしたが、その光に照らされて部屋中の人形が一斉に照らし出された。

その光景がいやにおぞましかった。


無機質で、覇気のない人形の瞳が私を見つめてるようで怖い。


雨や風の音が強くなり、雷鳴も、雷の光も激しくなって行く。





ゴロゴロ…、ドォォォォォンッ!!

━━━ピカッ

「いやっ!!」

何十体ものフランス人形。

そのリアルな人形達が真っ暗闇の中、一気に照らし出される。

明るいところで見るには美しい人形達も今はただただ怖い。



こんな不気味な部屋にいたくない…っ。


椎葉さん…。

椎葉さん…っ!!



「……………っ!」

━━━━━ガチャッ!








私は慌てて部屋を飛び出した。


あの部屋の不気味さに耐えられなくなったのだ。

雷に照らし出されたあの生気のない人形の瞳が溜まらなく怖い。




「はぁ、はぁ、はぁ…」

とにかく、椎葉さんの元まで走ろうと思った。

強がりとか意地とか、そんな事はもうどうでもよかった。

飲み込まれそうな真っ暗な廊下。

どこまでも続きそうな長い闇の中をただひたすら走った。













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