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Dolls…
第14章 幼馴染み


「あ…」





どうして…?

どうしてベッドから動けないの?

何をこんなに戸惑い躊躇ってるの?



シュウちゃんの手を取れば私は解放される。

普通の日常に戻れる。

こんな人形だらけの浮世離れした世界じゃなく、現実の世界に戻れるのに…っ。



「おい!椿っ!急がねぇとあいつに見つかっちまうっ!」

「わ、私は…っ」



シュウちゃんの言う通り、ここでモタモタしてたら椎葉さんが戻って来てしまう。

そしたら今度こそ逃げるチャンスはなくなる。

私を逃がそうとしたシュウちゃんだってどんな目に遭うか。


それに、本当に椎葉さんから逃げられる?

私を逃がさないようにあれこれと手を回す椎葉さんの元から本当に逃げられるの?

さすがの椎葉さんでも警察に手を回すなんて事は出来ないだろうけど…。


「早く…、急げ!」

私の手首を掴みグイグイと引っ張るシュウちゃんだが…

私の心の中は酷く荒れていた。

いろんな考えが巡って体が動かなかった。


「わ、私は…っ」

「椿っ!?」




















私は…、本当に馬鹿だ。

せっかくのチャンスなのに…

シュウちゃんは、こんな山奥までわざわざ私を迎えに来てくれたのに…。

私は本当に、本当に…


最低な大馬鹿野郎だ……っ!
























「私は…、行けない…」

「え…?」

喉から絞り出すように出された私のか細い声。

その声、その言葉。

大馬鹿野郎と罵られても仕方ないと思った。


この言葉には流石のシュウちゃんも驚きを隠せないのか私の姿を呆然と見下ろしていた。

私は申し訳なさからシュウちゃんの目すら見れないまま俯くしかなかった。





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