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Dolls…
第16章 誘惑の果て
「どうして、そんな事聞くんですか…?」

さっきとは逆の立場に置かれてしまった。

私の場合、洒落にならない質問だけど。


人形のモデルと言うのは嘘じゃないが、それ以上の関係でもある。

だけど、椎葉さんは安藤さんに私の事を"人形のモデル"だと紹介したし、それ以上の関係であることはバレてはいけないような気がした。

私だって話したくないし、堂々とした関係でもない。



「いや~、奈々の時と微妙に違うって言うか…」

「え?」

「奈々と椿ちゃんってタイプが違うから…。奈々はそんなロリータファッションはしなかったし」


確かに。

奈々さんは、目が釘付けになってしまうほどの美人で

スタイルも抜群で、本当にモデルさんみたいな人だった。

そんな美人と私を比べればその差は歴然、雲泥の差。

だけど、椎葉さんが人形のモデルにと求めてたのは見たくれだけの問題じゃない。

もっと複雑な問題だった。


「…趣味が変わったんじゃないですか?」

「そうかなぁ」

「安藤さんも、奈々さんをご存知なんですね」

「あぁ。まぁね」


椎葉さんと安西さんは幼馴染みなんだから奈々さんを紹介したりしてたんだろう。

椎葉さんと奈々さんの間には何もなかったみたいだけど、あの台詞も信じていいものかどうか。

あんな綺麗な人に想って貰えたら、男性からしてみれば断る理由なんかないと思うけど…。








「本当に…、奈々と秋人とは、仲良くさせてもらってたよ…」

「え?」





私の横で小さく呟く安藤さん。

だけど、その声は消え入りそうなほどか細くて

上手く聞き取れなかった。


「あの、今何て…」

「いや。何でもないよ」

「?」


南側の角部屋まではかなりの距離だ。

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