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Dolls…
第17章 悪魔のささやき

さっきまで私を抱いてた椎葉さん。

だけど今は、私を"人形"だと言い張っている。


さっきの情事もただ人形を抱いただけ。

愛玩人形で欲望を解消しただけ。

わかってる、そんな事…。


わかってるけど…、否定して欲しい…。


安藤さんの前で私はただの人形じゃないって、さっきの言葉を取り消して欲しい…。


「椎葉さん…」


涙を溜めた瞳で椎葉さんを見上げた。


私をここに閉じ込めてるのは人形の為。

それ以上でもそれ以下でもない。

だけど、何度も何度も体を重ね合わせて来た。

その度に私の心は酷く痛んで、今朝椎葉さんに抱かれた時は私から椎葉さんを求めてしまった。



椎葉さんにとって私はただの人形のモデルだけど

今だけは…

優しい嘘で慰めて欲しい。

嘘でもいいから"人形の為だけじゃない"って言って欲しかった。



椎葉さん…っ。









「はぁ…、ただの人形の方がまだマシだ」

「秋人…?」




深い溜め息をついた椎葉さん。

その口から聞こえた台詞は、何とも言えないもの。

どういう意味かはわからないし、どう捉えればいいのか…。




「人、形…?」

「人形なら涙も流さない。生きた女の涙ほど面倒なものは無ぇだろ?」





━━━━━…ズキッ







「秋人っ、お前…っ」



心が、真っ二つに引き裂かれたようだった。




椎葉さんの口からハッキリと聞かされた人形というフレーズに涙が溢れて止まらなかった。

そんな私を見て椎葉さんは…、面倒だと言った。

生きた女の涙は面倒で、涙すら流さない人形の方がマシだと…。





━━━━━━っ!!






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