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Dolls…
第18章 パンドラの箱
すると、急に身体中に感じでた重みがなくなり体が軽くなった。

椎葉さんが退けてくれたのであろうが、次の瞬間


「…………やっ!」

押さえられていた腕を引っ張られ、強制的に仰向け状態にさせられた。

ムリヤリ引っ張られたせいで腕の関節がズキッと痛んだ、が

「何す…っ」




見上げた椎葉さんの目は、いつになく険しい。

険しいというより、怒ってる…?

私を見下ろすその冷たい目に背筋がゾクッと凍った。




「あ…」




さっきまで真っ赤だった顔から一気に血の気が引き今は真っ青だ。

それは、越えてはいけないラインを越えた私への怒りだ。

触れてはいけない過去の古傷。

開けてはいけないパンドラの箱。






「俺の母親が何だ?母親の事が知りてぇのか…?」

「………っ」

その冷たい声を聞いた瞬間、まるで刃物を向けられたような気分になった。

猛獣を前に何の抵抗も出来ない小動物のように、その獰猛さにただただ震えるしか出来ない。


「わ、私が知りたいのは…」


違う…。

椎葉さんのお母さんの事は知りたい。

だけど、それだけを知りたいんじゃない。



こんな所に閉じ籠り、私を監禁してまで人形作りに命を捧げてるのは椎葉さんのお母さんが原因かも知れない。

だったら、ここに閉じ込められてる私にも少しばかり関係はある。

そして、その事で椎葉さんは苦しんでる。

何の役にも立たない人形のモデルだけど、話を聞いて、その肩の荷物を半分でも持ってあげたい。


ただ、そう思っただけ…。


「さっきも言ったが、これだから意思を持った人間は嫌いなんだ…」

「………っ」

「ただ黙って微笑んでるだけの人形の方がどれだけいいか」



……さっき、私の心をズタズタにした台詞を再び、椎葉さんに見つめられながら至近距離で言われてしまった。



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